
3.3.2.6仮結論
最終進入のようにレーダ中心近傍の場合、離陸直後周回する場合、レーダー覆域限界近傍の方位誤差が多い場合の説明や、モンテカルロシミュレーションとして、実験回数をくり返し、なぜそうなるか解説もつけないと正式に言えないが、おおよそ以下のことがいえる。
(1)上記の解析で、カーブルやゴーストとによる相関ミスやコーストの問題は別として、現在のARTSのレーダーと追尾は、位置の確認という意味では、それほど大きな問題はないと考えられる。(ただし、平行滑走路利用などの場合を除く。)
(2)等速度直線運動の場合は、安定すればαβトラッカで十分機能する。ただし、初期値に問題があると、収束に時間がかかるので、追尾開始当初は、過去の航跡データを全て利用する方式が望ましいといえる。
(3)直線運動で速度が変化している場合、速度は現状では速度の差が非常に大きくなることがわかる。針路は現状であまり問題はない。逆に加速度の要素をいれて計算するとかなりバラツキが多いことがわかる。
(4)旋回連動時には、現状の方式では速度、針路誤差がかなり大きくなる問題がある。加速度の要素をいれると針路誤差は小さいが速度誤差は、現状と同様大きいことが分かる。加速度の要素を入れずに計算すると針路誤差は大きいが、加速誤差は小さいことがわかる。
従って、針路変更や速度変更の予測がつかない場合には、どの場合でも最適な方法というのはないが、モードSレベルの位置誤差であれば、方位は方式3を速度は、方式4を採用すると、最大公約数的に速度・針路変化の激しい夕一ミナルには適合し、現状より大幅に改善されることが予想できる。
また、加速度の状況などをみて直線連動か否かの判定をおこなったり、将来的にはCPDLC等の利用で将来の動きが予測できれば、さらに信頼性の高いデータを得ることができる。
高度・速度変化の大きい夕一ミナルでの追尾精度の向上は、MSAW,CAの精度向上や、今後のシステム応用の方向に大きく貢献することが、期待できる。
3.3.3自由飛行のための将来のコックピット方式について
3.3.3.1 まえがき
自由飛行は従来の地上主導のATCシステムを改革して、コックピットに情報、及び責任を一元化しパイロットが自らの判断で自由に飛行できるユーザー指向の新しいシステムであり、これにより管制の情報交換ミスの除去、危機対応の迅速化、及び飛行の自由度の向上が得られ安全性と経済性を増大させる画期的コンセプトである。アメリカの航空界ではATA,ALPA,AOPA,NBAA,APA,DOD,NASA、及びMTCAがこのコンセプトについて劇論の結果合意に向かい、1996年3月15日FAAはその推進の意向を公的に発表したと云われている。この自由飛行の発展経緯、中核となるSASとデータリンクの運用、自由飛行連用形態、及び今後の課題について報告があったのでその要旨を述べる。
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